ギターアンプ適当解説【Mesa Boogie/Rectifier(現行モデル)】
概要
Rectifierシリーズは、90年代にリリースされて大流行し、PeaveyやSoldanoと共に1990年代を代表するハイゲインアンプ。
ニューメタルのジャンルと共に時代を作り、Limp Bizkit、Linkin Park、Incubus、Korn、Metallicaなどが、レクチファイヤーを使用してました。
サウンドは、モダンモードの強力な低音とアグレシッブな高域が特徴的で、ヴィンテージモードで、スタンダードなドライブサウンドもカバーし、ロック系プレイヤーだけでなくフュージョンプレイヤーにも使用されてる。
「Dual Rectifier」の名前は、整流管(Rectifier)が2種類(ダイオード/真空管)搭載されてることから。
リリース当初は2Chだったが、後から3Chにモデルチェンジし、GainやEQの独立、「Pushed」「Raw」モードの追加、マルチワット仕様などの変更があった。
▼2CHモデル(旧モデル)
▼3CHモデル(現行モデル)
とりあえずセッティング例
EQはすべて5(12時)だと、低音が膨らんでもっさりしたサウンドで、微妙になる。
メサはフェンダーアンプがベースなので、BMT=236位を基準値にしたほうがいい(特に歪ませた場合)。
また、MVは低め(9時くらい)がスイートスポット(上げると低音が膨らみ、むさ苦しくなる)とされてるみたい。
スタートポイントはこんな感じ。
- クリーン :CH1 Clean (G BMTP=4 4465)
- クランチ :CH1 Pushde/CH2 Raw
- ハイゲイン:CH2or3 Modern(G BMT/P M=7 3463)
- リード :CH2or3 Vintage(G BMT/PM=8 4563)
チャンネルとサウンド
CHごとにGBMTPVがある独立3CHにモードがあり、全CH共通でソロ用MVが別にある。
- CH1:CleanとPushedの2つのモードがある。Cleanはクリーン、Pushedはクランチ
- CH2:Raw、Vintage、Modernの3つのモードがある。RawとVintageはスタンダードなドライブサウンド。トーンは同じで単にゲイン量が違う(Rawがクランチ、VintageがOD〜DS)。Modernは低音が強く高域のシズル感があるスクープサウンド。レクチといえばこのModernモードといえる。
- CH3:CH2と同じRaw、Vintage、Modernの3つのモードがある。
※Ch2とCh3
大きな違いはないが、CH2の方がオープンでレンジが広くややブライトで、CH3はミッドフォーカスされハイがスムースなサウンド。
CH3は、CH2よりトレブルのFQが低く中域にレンジが近いため、ミッド(600〜800Hz)が数dB多くなるらしい。
Presence
CH2とCH3であまり変わらない。
マニュアルには違うこと書いてるけど。
CH2のPresenceは、オリジナルのVINTAGEモードに最適化されていて、ウォームでマイルドになっている。PRESENCEのテーパーが緩やかなためレスポンスも緩やかになっていて、レンジはマイルドで太い単音ソロに適しているが、そのため、モダンモードではPRESENCEが強烈なトップエンドになる前にピークアウトする。
CH3のPresenceは、MODERNモード用に最適化されていて、CH2より大幅に広いレンジを持ち、トップエンドが強力になる。そのため、VINTAGEとRAWで、ウォームで丸みのあるサウンドにするは慎重に設定する必要がある。CHANNEL 2のPRESENCEが5:30(10)が、CHANNEL 3のPRESENCEの約10:00(3)になる。
旧モデル(2CH)と現行モデルとの比較
旧モデル(2Chモデル)の方が人気らしい。
旧モデルはよりダークでスムースなサウンド。旧モデルOrange Vintが新モデルCh2Vint。旧モデルREDが新モデルCh3Modernに当たる。
スペック(新モデル/3Ch)
- CH /モード:3(①Clean/Pushed ②Raw/Vintage/Modern ③〃)
- コントロール(各Ch):Gain, Bass, Middle, Treble, Presence, Master
- コントロール(共通):Output(=MV), Solo(=MV2)
- オプション(各Ch):(Watt)50w/100w, (Rectifier Select)Diod/Tube Tracking
- オプション(共通):(電源)Bold/Spongy (Bias Select)6L6/EL34
- 電源等:12AX7A、6L6GC/EL34、100w
- キャビ /スピーカー:412Recto/V30など
ラインナップ
↑ロードキング
- デュアルレクチファイア(1992〜2000):2CH仕様。A〜Gまでのバージョンがあり、バージョンによりブライトやダークなものがあるが、3CHモデルと比較するとスムースでダーク。
- デュアルレクチファイア(2000〜):3CH /8モード。旧モデルよりブライトでタイトらしい(プレゼンス等が異なる)。
- トリプルレクチファイア:3Ch/8モード。150W。
- ロードスター:4Ch/12モード(CH1=Clean/Fat/Tweed、CH2=Clean/Fat/Brit、CH3 CH4=Raw/Vintage/Modern)。ロードキングの下位Ver
- ロードキング:4Ch/12モード(ロードスターと同様)。レクチの最高級仕様。パワーアンプは、6L6と34ELを搭載していて、切替やハイブリッド利用などを行える。
TIPS
- 名前:日本ではレクチだけど、英語圏では、Rectoって呼ばれてるみたい。また、Triple Rectifier(150w)は、CH数(=3)からネーミングされたようだけど、D.Rectも後から3Chになったので紛らわしくなっている。
- モダンモード:パワーアンプにNgtvFBがないのが特徴。このため低音が膨大になり、MVでパワーアンプが歪やすい。
- 設定:低音が膨らみやすいので、モダンモードでは特にBassとMVを低くしておくのがいい。
- EQ:Chにより動作が違い、特にPresenceはChごとの差が大きい。
- Rectifier:整流管の切替ができる。個人的には、他の設定に比べるとサウンドの違いは大きくないと思う。(DIODE)タイトなアタックのモダンサウンド。ヘッドルームは大きく大音量クリーンにも対応。(TUBE)暖かみのあるヴィンテージサウンド。チャンネル2/3では単音リードに向いたサウンド。
- Power:電源の切替。これもそんなにサウンドは変わらない。(BOLD)モダン。最大パワー、クリーンのヘッドルーム。(SPONGY)ヴィンテージ。電圧を下げてドライブが出しやすい。整流管がTUBEの時は特徴が顕著になる。
- パワーアンプ使用:プリアンプを別に用意してレクチをパワーアンプとして使う場合。CH1がおすすめ(一般的なパワー感度なので色んなプリアンプと組み合わせれる)プレゼンスが効く。CH2モダンは出力の小さいギターなどで大きなパワー感度が必要な場合に向いてる(NgFBが相当減るため)。プレゼンスは効かない。EFFECTS MIXは90%が良い。
マニュアルの要約
マニュアルを要約したものを置いときます。
1.チャンネルとモード
CH1 CLEAN
最もクリーンなモード。
ゲイン12時半未満:きらびやかなサウンド
ゲイン12時半超:暖かみのあるサウンド
ゲインフル:ヴィンテージなドライブサウンドで、トレブルとミッドを増やすことでさらにゲインが増してサスティンを伸びる(プレゼンスとバスは低めが良い)。
CH1 PUSHED
荒々しく激しいサウンド(クリーンモードは柔らかくて優しいローゲインサウンド)
プリアンプの最初のステージで大きくゲインを得ていて、トーン回路がシンプルになっているため、ピックニュアンスやレスポンスが表現しやすい。
*ゲインを最大値にしたら、トレブルは2時半以上にしないように注意(プリアンプが発信するおそれがある)。明るさはプレゼンスで調整する。
CH2と3
チャンネル2は、プレゼンスが抑えられ、ウォームなサウンドで単音ソロ向き。
チャンネル3は、プレゼンスが強烈で、鋭いサウンドでリズム向き。
RAW→VINTAGE→MODERNにつれて、超高域・倍音・ゲインが増していく
チャンネル2:オリジナルのVITANGEを再現。
RAW:歪み成分が少ない自然なサウンド。暖かみがあり、高音から倍音が減衰し、単音ソロ向き。ローゲインのピュアブルースやミディアムゲインのソロに。オリジナルのレクチにはないモード。
VINTAGE:太く柔らかいハイゲインサウンド。プレゼンスを中位にすると高次倍音が絶妙で単音ソロ向き。色んな楽曲のソロで聞くことができる。Raw≒Vintage(Rawの中〜高ゲイン=Vitageの低ゲイン)
MODERN:アグレシッブでタイトなハイゲインサウンド。高次倍音が元々多いのでプレゼンスがあまり効かない。太くコンプレッション感があるサウンドで、ロールオフ奏法や単音ソロに。
⑷チャンネル3:オリジナルのMODERNモードを再現。
プレゼンスのレンジがチャンネル2より遥かに大きく、チャンネル2に高次倍音が足されてよりブライトになったサウンド。
RAW/VINTAGE:チャンネル2よりブライトなサウンド。RAWモードでは、荒々しいリズムサウンド。
*プレゼンスの効きが強烈で、暖かく丸いサウンドにする時は注意。チャンネル2のプレゼンス最大=チャンネル3のプレゼンス10時
MODERN:アグレッシブでタイトなハイゲインサウンド。ハードコアなどで定番サウンドとなっている。
2.コントロール
GAIN
ドライブの量だけでなく、トーン形成もする。
中(11〜2時):バランスの良いドライブサウンド。ウォーム。低音の反応も向上。
高(2〜5時):サスティンがあるサウンド。低域〜中域が歪み、最大の歪みが得られ、コンプレッションがかかってアタックが柔らかくなる。使うのはサスティンが必要な時くらいがいい。
※ゲインを上げすぎに注意。ゲインが高いとトーンコントロールが効かなくなる。
TREBLE
ゲインの次に重要。
トーン回路はトレブル→ミドル→バスの順で、トーン調整は、ほとんどが最初のトレブルで行われる。
スイートスポット:中位(11時〜1時半)
※特に、PUSHEDモードでは、トレブルが強力なので2時半より高くしない(バスが効かなくなる)。
MASTER
省略
MID
トレブルほど劇的な効果はなく、サウンドが柔らいか硬いかのニュアンスをコントロールする。
低(7〜11時):低音が少し強調され、パンチがなく、コンプレッションのかかったサウンド。
中(1130〜1330):丸みがあり、中域のアタックが速くなる。
高(2時〜):ゲインが増えて明瞭度が増す。サウンドは太くなりコンプレッション感はやや減る。
※チャンネル1のミッド
チャンネル2/3と違うカーブ。
12時未満:通常のミドルコントロール。
7〜10時半:クリーンサウンド。バスとトレブルを加えることでクリーンで弾けるのでサウンド。
1時超:ゲインが増えて中域にパンチ。
3時〜:クリーン/プッシュドモードの極端な設定をした時のようなゲインを得られる。
PRESENCE
トーン回路の最後にある高音域(トレブルより高い音域)のアッテネータで、他のトーン回路とは独立して作用する。
低め:ダークで太いコンプレッションのかかった単音ソロに向きのサウンド。バランスが取れてボーカルライクなレスポンス。
高め:クリーンでは弾けるサウンド、ハイゲインではアグレッシブなクランチリズム。チャンネル3のモダンモードを解放する。
BASS
トーン回路の最後にあり、トレブルの設定が高いと効きが弱くなる。
効き具合はチャンネルによって変わる。
パワーアンプとしての使用
プリアンプを別に用意して、レクトをパワーアンプとして使うことができる。
ポイント
CH1がおすすめ。一般的なパワー感度なので色んなプリアンプと組み合わせれる。プレゼンスが効く。
CH2モダンは、出力の小さいギターなどで大きなパワー感度が必要な場合に向いてる(NgtFBが相当減るため)。プレゼンスは効かない。
EFFECTS MIXは90%が良い。